自由という許しを得る〜人生を変えた5曲の音楽(3)〜【2018年1月8日号】

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今回は、しばらく期間が空いてしまいましたが

『人生を変えた5曲の音楽』

シリーズの3話目を

お話したいと思います。

【参考】

旅路の始まり〜人生を変えた5曲の音楽(1)〜
http://mindful-music.bmeurl.co/76468F8

ライブハウスに学ランで〜人生を変えた5曲の音楽(2)〜
http://mindful-music.bmeurl.co/7695DC6

☆☆☆

キース・ジャレットというピアニストを

いつ頃、なぜ、知ったのか
今となってはよく覚えていない。

たぶん、

「ジャズ」と分類されている音楽に
強烈に興味を持ち始めていた

高校生時代ぐらいだったと思う。

何気なしに、

TSUTAYAかどこかのレンタルショップの
ジャズミュージックのコーナーで

『ケルン・コンサート』という
アルバムを手に取り、

試聴もせず、店の解説カードも
ろくに読みもせずに、借りて帰った。

そしてすぐに、

部屋にあった、母親譲りの
ケンウッド社製CDデッキに流し込み

再生ボタンを押して、

僕はいつもどおり

ライナーノーツを読み始めた。

「ライナーノーツ」と言っても、

「スマホで音楽を聴く」という
今の若い世代は、

おそらくほぼ知らないだろう。

アーティストがCDやレコードをリリースした際

著名なミュージシャンや音楽雑誌編集長など
発売前の音源を既に聞いた関係者たちが書いた

解説文のことだ。

通常、歌詞カードなどとともに封入されている。

で、僕は、

ケンウッドのスピーカーから流れ始めた

「ソレドラ〜♪ ソレドレミファ〜ミレ〜♪」

という

キースが奏でる美しいピアノの音色に
耳を傾けつつ、

読み始めたライナーノーツに
書かれていた言葉に目を疑った。

「全編完全な即興で弾き通された

 このコンサートは

 音楽界を超えて世界中に衝撃を与えた

 ・・・」

んんん???

スピーカーから聞こえていたのは

どこからどう聴いても

【美しいピアノ音楽】

だった。

これが、

予め作曲されたものではなく

【即興】????!!!!

そういえば、

4曲収録のこのアルバムの
各曲のタイトルは、

1.  Part I
2.  Part IIa
3. Part IIb
4. Part IIc

となっていた。

要するに、

完全な即興なので

曲のタイトルなんて

つけようがなかったというわけだ。

4曲合わせて、演奏時間は60分を超えていた。

当時の僕は、とても信じられなかった。

人間技とは、とても思えなかった。

事前に全く何の決め事も考えていない状態から

たった1人で、ピアノ1台で、1時間以上

大観衆の前で、弾き続け、

ライヴ録音された音楽が、、、

コレ?????

観客はスタンディングオベーション??

僕は本当に目と耳を疑って

あまりの衝撃にめまいがした。

流れていたのは、

「ジャズ」とも

「クラシック」とも

「ロック」とも

「ポップス」とも

違っていながら、

なおかつ、

それらの全ての要素が

融合されていた。

“それぞれの生活で、

人々はみんなインプロヴァイズしているんだ。

レストランへ行って、

何かを注文するとしよう。

誰かに「今夜はなぜ牛肉にしたんだい?」

と聞かれたとしても、

「べつに、それが自分が食べたいものだから」

と言うしかないよね。

同じことなんだ。

「キース・ジャレットさん、どうしてここで

Fメジャー・コードを弾いたのですか?」。

ほかに言いようがないけれど、とにかく、

ここにはこのコード、この響き以外

あり得なかった、ということだ。”

『キース・ジャレット インナービューズ ーその内なる音楽世界を語る』
(ティモシー・ヒル/山下邦彦, 2001年)より。
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***

音大を卒業し、近所の子供達に

自宅でピアノを教えていた母から

3歳から音楽教育を受けさせられた

僕にとって、

ピアノというのは、

楽譜を解読して、

譜面の指示通りに正確に弾かなければならない

といった厳格な伝統的クラシックの規則に

従わされて育ってきた。

そんな親の教育方針は、

音楽以外の勉強についても同じことで、

僕は小学校2年生から塾に通わされ、

テストの点数のみが、

母が僕の、そして、僕が僕の

価値を決める最優先基準だった。

キース・ジャレットの

『ケルン・コンサート』は

そんな僕が

【即興演奏】

という表現スタイルに虜になる

キッカケだった。と同時に、

完全に自由になっていいんだ

という許しを得た瞬間でもあった。


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Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/?curid=1126158

現在YouTubeにUPされている「ケルン・コンサート」は
ざっと確認したところ、すべて、

キース・ジャレット以外のミュージシャンによるカヴァー演奏です。

ですが、「即興」を「カヴァー」することは、
理論上不可能です(笑)

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