マインドフルネスを理解するための脳科学の基礎【1】ニューロン、脳の構造

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「マインドフルネスによって脳が変化するらしい…」という話を、あなたもどこかで、耳にしたことがあるかもしれません。ただ、実際に脳の、どの部分がどう変わり、その結果、実生活においてどういうメリットがあるのか、正直、よく分かりませんよね…??

特に、「脳のどこどこが活性化した為、この方法は効果がある…云々」なんて説明された時、頭の中に「?」がたくさん浮かびながらも、何となく、ボンヤリと、納得させられたような気分になりませんか???

たとえば…

瞑想に関する脳神経科学の大御所リチャード・デイヴィッドソン氏は、「マインドフルネス訓練によって、脳内では何が起きているのでしょうか??」との質問に、次のように答えています。

one thing we can say is that networks that important for attention are engaged by these practices and we can say certainly straightened…
―which parts of the brain are activated…??
well, particularly the regions of prefrontal cortex which play very important role in aspects of attention,

but again…(後略)

(引用者書き起こし ビデオ 0:54〜1:17より)

一つ言える事は、注意に関して非常に重要な役割を担う前頭前皮質の神経ネットワークが、瞑想トレーニングによって強化される

(引用者抄訳)

ただ、そうは言われても「う〜ん…、で… ??」と、あなたの頭の中には「?」がたくさん浮かんだのではないでしょうか??

そこで、そのような方でも、「なるほど」と理解できるような記事を、書いていこうと思います。(が、脳科学自体が難解ですので、どうしても専門用語が多くなってしまうことをお許し下さい。)

第1回目の今回は、脳科学全般における基礎的な知識、特に、解剖学的な内容を整理しておこうと思います。

1. 脳(Encephalon)の概観

(“Introduction to Brain Structures” by BruceBlaus on wikimedia.org から改変。 CC BY 3.0)

ヒトの脳全体を左上から見た図を表しています。大きく発達した「大脳」と、その内部に「間脳」、大脳を支える茎のように見える「脳幹」と「小脳」、そして「脊髄」が表されています。

2. 脳を構成するニューロン(神経細胞)

(“Neural signaling in the human brain” on wikimedia.org, CC BY-SA 3.0)

そもそも脳とは、約860億個のニューロン(神経細胞)が複雑に結びつき合ったまま、しわくちゃに丸まって頭蓋骨内に収まっている、神経ネットワークの塊です。

2-1. ニューロンの構造

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ニューロンは、大きく分けると「樹状突起」「細胞体」「軸索」の3つの部分から構成されています。簡単に表現しますと、

  • 「樹状突起」とは、他の細胞から情報を受け取る場所
  • 「細胞体」とは、その情報を認識したり加工したりする場所
  • 「軸索」とは、他の細胞へ情報を送り出す場所

ということになります。

そして、ニューロン同士が情報を受け渡しする場所を「シナプス」と呼ばれ、通常、「神経伝達物質」という化学物質が、そのやりとりに使われます。

神経伝達物質は、軸索を伝わってくる「活動電位」と呼ばれる電気信号を伝える役目を果たします。

このようにして、私たちの頭蓋骨の中では、ニューロン同士が、結合しあったネットワークの中で、常に情報のやり取りを行っています。

※以降、この記事内では、「入力」「出力」といった用語を使用しています。これらは、ニューロン同士の電気信号の入出力のことを意味しています。また、「相互接続」とは、そのニューロン同士が、「お互いに入出力できる状態」を意味しています。

※また、fMRI画像などとともに「脳のどこどこが活性化した」といった表現は、ニューロン同士が電気信号をやりとりする際に発生する「血流量の増加」を捉え、「活性化」と表現したものです。「ニューロンの発火」と呼ばれることもあります。

2-2. 灰白質と白質

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藁(わら)じいの。より引用。)

脳や脊髄では、ニューロンの「細胞体」の部分が集中している場所が存在します。そのような場所を「灰白質」と呼びます。

逆に、「軸索」の部分が多く存在する場所は「白質」と呼ばれています。

脳では、大脳と小脳の表面にそれぞれ「灰白質」の層が見られます。また、大脳の内部には、大脳基底核などで、それぞれ固有の働きをする「灰白質」のかたまりが存在します。

脊髄では、中心部分が「灰白質」になっていて、その周りを「白質」が囲む構造をしています。

3. 大脳(Cerebrum)の概観

(mayoclinic.org "cause-of-supranuclear-palsy"より)
mayoclinic.org “cause-of-supranuclear-palsy”より引用。注釈追記。)

ヒトの大脳には、主に次の3つの領域があります。

  • 大脳皮質:ニューロンが集まって、1〜3mmの灰白質の層を形成して、大脳の表面を覆っています。認識や思考の中枢としての役割を担っています。
  • 白質(大脳髄質):神経線維が集まっていて、それぞれの細胞同士をつなぐ連絡経路の役割を果たしています。
  • 皮質下領域:海馬や扁桃体、大脳基底核など、情動・記憶などに関わる細胞群が集まっています。上位組織の大脳皮質と、下位組織の間脳や脳幹をつなぐ働きがあり、複雑なネットワークを形成しています。

4. 大脳皮質(Cerebral cortex)

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4-1. 皮質(Cortex)とは

(http://cs.brown.edu/~tld/projects/cortex/)
(cs.brown.eduより引用。)

大脳の表面は、見た目でも分かる通り、多くのシワが確認できます。これは、ニューロンが集まって層を作り、その層を頭蓋骨内に収めているためです。

この層のことを「皮質」と呼びます。ヒトの脳では、大脳と小脳に見られ、それぞれ、「大脳皮質」「小脳皮質」と呼ばれます。

大脳皮質のシワを全て広げると、新聞紙1枚ほどの大きさになると言われています。

4-2. 大脳新皮質(Cerebral neocortex)

("Six-layered structure of the cerebral cortex." on what-when-how.comGolgi, Nissl, Weigert とは、細胞染色方法の違い。)
what-when-how.comより引用。Golgi, Nissl, Weigert とは、細胞染色方法の違い。Golgiは神経細胞をランダムに、 Nisslは細胞体に、Weigert 軸索に、それぞれ染色したもの。)

また、大脳皮質のニューロンを見てみると、約90%のエリアで、6層構造を形成していることが知られています。

この6層構造が見られる領域を、「大脳新皮質」と呼びます。

(各層ごとに、異なる名前と役割を持っていますが、今回は割愛することにします。)

4-3. 脳回(Gyrus)と脳溝(Sulcus)

gyrus_sulcus_ja大脳皮質の表面の、シワの盛り上がった部分を「脳回」、くぼんで溝になった部分を「脳溝」と呼びます。

この「脳回」と「脳溝」の配列はランダムではなく、全て規則正しく決まっており、全てに名前が付いています。

以下、主な脳回を図示します。

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(大脳左半球の外側面に見える主な脳回)
(wikimediaより改変)
(大脳左半球の内側面に見える主な脳回)

4-4. 脳葉(Cerebral lobe)

また、大脳皮質は、見た目で目立つ3つの「脳溝」を境界にして、4つの領域に区分されています。これを「脳葉」と呼びます。

  • 中心溝を境にして、「前頭葉」「頭頂葉」
  • 外側溝を境にして、「前頭葉」・「頭頂葉」と「側頭葉」
  • 頭頂後頭溝を境にして、「頭頂葉」・「側頭葉」と「後頭葉」

と、それぞれ名前が付いています。

4-5. ブロードマンの脳地図

コルビニアン・ブロードマンという人が作った「ブロードマンの脳地図」というものがあります。

これは、皮質を構成するニューロンの層構造が、場所によって異なることに着目し、大脳皮質を1〜52までの領野に区切って番号をふった脳地図です。

以下に、主な領野を、図示します。

ブロードマンの脳地図と主な領野, 大脳左半球外側面。)
(ブロードマンの脳地図と主な領野, 大脳左半球内側面。)
ブロードマンの脳地図と主な領野, 大脳左半球内側面。)
(ブロードマンの脳地図における島皮質)
(ブロードマンの脳地図における島皮質)

5. 皮質下領域(Subcortical areas)

actioforma.net より引用。)

ここからは、大脳皮質に覆われて外側からは見えない、大脳の内側の話に移ります。ちなみに、この領域は「皮質下」と呼ばれたることがあります。

5-1. P.マクリーンの「三位一体の脳」

そもそも、大脳の内部はどうなっているのでしょうか…??

その謎について、1960年代に、ポール・マクリーンという人が「三位一体の脳」という仮説を提唱します。ヒトの脳は、次のような3層構造になっている、という説です。

actioforma.netより引用。)
  • 原始爬虫類脳:最も古い脳。種の保存が目的の本能的な行動を司る。(≒脳幹)
  • 旧哺乳類脳:哺乳類において発達した脳。情動行動や子育てなどができる。(≒大脳辺縁系)
  • 新哺乳類脳:人類において顕著に発達した脳。言語機能、計画や内省、抽象化などの、高度な知的活動が行える。(≒大脳新皮質)

この「三位一体」説は、ダーウィンの進化論とも合致していて、余りにも分かりやすかったせいか、今でも、脳の構造を説明する際に使われています。

ただ、もちろん、実際には、ヒトの脳はそんなに単純な構成ではありません。

5-2. 大脳辺縁系(Limbic System)

(“Limbic System” by BruceBlaus on wikimedia.org, 改変。CC BY 3.0)

ポール・マクリーン氏が「辺縁系(Limbic System)」と呼んだエリア「旧哺乳類脳」にあたる領域が、現在では「大脳辺縁系」と呼ばれています。

「大脳皮質より内側に存在する構造物を、とりあえず一括りにした便利な言葉」として用いられているようです。

一般的に理解されている、大脳辺縁系の構成要素は、

  • 辺縁皮質(辺縁葉):帯状回、海馬傍回… など
  • 皮質下の細胞群:扁桃体、海馬… など
  • 間脳の一部:視床下部 など

つまり、「大脳辺縁系」とは、解剖学的に明確な領域を表す言葉ではありません。「辺縁皮質」は大脳皮質の一部ですし、視床下部や松果体は「間脳」に区分されます。

しかしながら、扁桃体や海馬など、特殊な働きをする細胞群をまとめられるような、上位区分の領域を指す言葉が他に無いため、現在でも使用されている、ある意味では、重要なキーワードです。

5-3. 大脳基底核(Basal Ganglia)

(“Basal Ganglia” by BruceBlaus on wikimedia.org, 改変。CC BY 3.0)

大脳基底核とは、背側線条体(被殻+尾状核)、腹側線条体(側坐核+嗅結節)、淡蒼球などから構成される細胞群を一括りにした総称です。

(大脳基底核および周辺の主な構成要素)

6. 間脳(Diencephalon)

“Brain Anatomy (Sagittal).” by BruceBlaus on wikimedia.org より改変。CC BY-SA 4.0

間脳には、視床や視床下部があり、外部や体内からの感覚刺激を中継し、大脳へ信号を送ったり、全身の自律神経へ命令を送ったりといった機能を担っています。

7. 脳幹(Brain stem)

“The Brainstem” by BruceBlaus on wikimedia.org, 改変。CC BY 3.0

脳幹は、中脳、橋、延髄で構成されます。呼吸、意識、自律神経など、生命維持に関わる重要な中枢としての領域で、脳と脊髄をつなぐ神経が集まっています。

マインドフルネスを理解するための脳科学の基礎【2】へ続く)

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